約 2,249,727 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/969.html
(やっぱりやりすぎだったかしら…) ルイズは己の使い魔を見て考える。 食堂から出てきたあとから、ずっと元気がない『平民』 …パンナコッタ・フーゴのことを。 教室の床に座り込み、膝を抱えて譫言を呟いているばかり…。 あの食事は『主人』と『使い魔』の違いを理解させるために 用意させたのだが、それが予想以上に効いてしまっているようだった。 粗末な食事。当然不満がでてくるだろうが、そこに寛大な主人が 施しを分け与え、主従関係を強固なものにするという計画だったのだが…。 まさかあれを我慢できるだなんて誰が想像できるだろうか!? (何とかしないといけない!…のかな?) ルイズは少々複雑な感情を抱いた…。 『紫霞の使い魔』 第四話 【そいつの名は『ゼロ』】 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね」 中年の女教師 ミセス・シュヴルーズは教室を見回すと、満足そうに微笑んだ。 視線の先にはサラマンダー、バグベアー、スキュア、カラス、大ヘビ、フクロウ、 人食いリス、カタツムリの殻を背負った犬、レザーブーツを履いた猫、 耳が ケンカか なにかで 虫に喰われた葉のように 欠けている ネズミ 服が 趣味か なにかで 虫に喰われた葉のように 穴だらけの 人間。 ………人間? 「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズがとぼけた声で言うと、教室は笑いの渦となった。 「ゼロのルイズ!召還できないからってその辺歩いてた露出狂連れてくるなよ!」 小太りの少年がガラガラ声を張り上げて嘲りの言葉を浴びせる。 「違うわ!きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」 ルイズが立ち上がり、『床のモノ』を指さして反論する。 当の本人は、 「ぼくのは違う…ぼくのはファッションなのに……」 別方面の中傷に対して傷つく。もはや怒る気力もないようだ。 「嘘つけ!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?ゼロのルイズ!」 「なんですって!わたしを侮辱するの!?かぜっぴきのマルコルヌ!!」 「ぼくは風上のマルコルヌだ!かぜっぴきじゃないぞ!記憶力もゼロなのか!」 「あんたなんか『かぜっぴき』で充分よ!喋らないで!風邪が移るから!」 売り言葉に買い言葉…。二人とも段々ヒートアップしてきたようだ。 「ゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロ!!!」 「風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪!!!」 いつまでも続くかのように思われたケンカだが、所詮 人生は有限である。 フーゴがルイズのマントを(力なく)引っ張って、椅子に座らせ シュヴルーズがマルコルヌと一部の生徒に粘土を食べさせることで 子供じみた不毛な争いは終結した。 「どんな理由があろうとも、お友達の悪口をいってはなりません。 それでは授業を始めます」 「──このように、『土』系統の魔法は皆さんの生活に密接に関係して───」 (コイツ随分元気になってるじゃない…) 床にいる自分の使い魔を横目で見て、ルイズは思った。 そう、フーゴはさっきの落ち込んだ様子から一変していた。 こう見えても彼の最終学歴は『中学中退』。 大体必要なことは独学で勉強したが、やはりまだまだ学びたい年頃である! それが初めて聞く事柄なら尚更だ。 窮屈な空間ではあるが、聞いた授業の内容を手帳に書き記している。 最も、書いている文字(?)はルイズにはまったく読めないが…。 それよりも まず、彼に授業内容が理解できているのだろうか? (ま、どうせメモを取ったところで無駄だけどね~) そもそも、魔法が使えるのは貴族のみ。 『平民』であるコイツが勉強したところで できるわけ… そう考えていたルイズの顔が曇り、 不意にトラウマが甦ってきた… 手が止まる。思考が止まる。時が止まる。 {{わたしは?わたしはどうなの?わたしは…}} 息が詰まる。胸が詰まる。言葉が詰まる。 {{わたしにそんなことを言える資格が…?}} 「どうかしたんですか?」 『使い魔』に声をかけられ、時が動き出した。 「大丈夫よ。なんでもないわ」 気丈に振る舞うルイズだったが、その顔色は冴えない。 「本当ですか?何処か悪いのなら…」 「そこ!授業中の私語は慎みなさい!」 中年女教師からの叱責が飛ぶ! 「「す、すみません!」」 見事にハモった。 「そうですね…それだけの余裕があるのでしたら 貴女に この『石』を『錬金』してもらいましょう。ミス・ヴァリエール」 その瞬間!鼓膜が劈くようなブーイングの嵐が巻き起こった! 「先生!『ゼロのルイズ』にやらせるなんて危険です!」 「『ゼロのルイズ』にやらせたら『終わり』って恐怖だけがあるんだよーッ!」 「おまえならできるッ!やれーッ!やるんだーッ!ルイズゥ!」 青ざめた顔で応援するヤツもいるが口の中に何かが見えた。あれも使い魔か? ハッキリ言って、フーゴには皆が何を恐れているのか解らなかった。 わかるのは彼女のあだ名が『ゼロのルイズ』だということぐらい…。 しかし、『危険』というのは一体? ルイズは少しうつむいたが、立ち上がり叫んだ! 「やります!わたし やります!」 教室に響く リンとした声。そして 絶望と落胆の声…。 されど 彼女の決心は変わらず、緊張しながらも教室の前に進んでいった フーゴの目にはその姿がとても凛々しく思えた。 そうだ。せっかく『主人』が魔法を使うのだからぼくも見て── (何コレ…?) 立ち上がったフーゴとは対称的に生徒達は全員机の下に潜り込んでいた。 二重の意味で、授業を受ける姿勢ではない。異常である。 「そんなところで何してるんですか?」 とりあえず一番近くにいた生徒に聞いてみるが… 「いいからお前も伏せろ!危ないぞ!」 …『危ない』?? 「えっ?それはどういう意…」 とりあえず言われたままに しゃがむと…! ドッッグオオオォォォォォォンンンン ギャグマンガでしか見たことがなかったような大爆発! 屈んでいたフーゴの頭を爆風がよぎった! 木片が飛び!窓ガラスが割れ!使い魔たちが暴れ出す! 「なっ!『石』が…いきなり爆発したぞ!?」 突然起きた出来事に対応し切れてないフーゴ。 まさか!?『ゼロのルイズ』というのは…!? 話していた生徒が忌々しげに口を開いた…。 「近づくなよ……『ゼロのルイズ』が『魔法』を使うとき 何者も そばにいてはならない……」 立ちこめていた爆煙がはれ、中から煤だらけになったルイズが現れた。 服はビリビリ、机はボロボロ、教師はピクリとも動いていない…。 そんな悲惨な状況を見まわした彼女の一言。 「ちょっと失敗したみたいね」 コレだけの惨事を引き起こしておいてそれはないだろう…。 いつも魔法が失敗するから『ゼロのルイズ』。 フーゴは そのあだ名の意味をようやく理解した。 そして…朧気ではあるが、自分が彼女に『召喚』された理由も…。 周りのもの全てを巻き込み、破壊尽くしておきながら 自分自身『だけは』何事もなかったかのように君臨する。 その姿は… ───彼女の可愛らしさとは縁遠いはずなのだが─── 忌まわしいほど醜い『アイツ』と重なって映った。 フーゴは痛み出した頭を押さえ、静かに呟いた…。 「…なんてこった……!」 To Be Continued…
https://w.atwiki.jp/aomaru/pages/29.html
インターミッションサブクエスト ミシュラムでの休息(午後)水着切り裂き事件の調査(隠し) みーしぇの挑戦(隠し) ミシュラムでの休息(午後) インターミッションは1日のみで、隠しクエスト2件。 水着切り裂き事件の調査(隠し) 取得DP:5(+1) 期間:インターミッション・キーア発見後~テーマパークに入るまで キーア同行時にレイクビーチの受付に入り、奥に進むと発生。 水着切り裂き事件の犯人は? 全く別の誰か(DP+1) 囮役のメンバーを、エリィ・ティオ・ノエルの3人から選択。 選択したキャラの絆ポイントを獲得。 囮役のキャラとイベントが進行し、ロイド1人で戦闘。 1戦目:アオペングー 水属性アーツのハイドロカノンを使用するが、単体なのでどうとでもできる。 次の戦闘での手間を省くためにも、この戦闘中に解析しておきたい。 戦闘後にイベント、ロイド・囮役のメンバー・NPCキーアで2戦目。 2戦目:アオペングー、アカペングー、キペングー、ミドリペングー、モモペングー、シロペングー 各種状態異常に注意(混乱・一撃での戦闘不能) ペングーは色違いで別の魔獣扱いなので、戦闘手帳を埋めたいなら、全員にアナライザー等をする必要あり。 戦闘を楽にするならノエルのクラフトで纏めて敵を眠らせると良い。 エリィならアーツのローレライ(風8+水2+幻2:全体に睡眠)、ティオならツァイト召喚を使用すると楽になるだろうか。 キーアは声援でこちらの強化(単体STR/SPDアップ)と敵全体のSTRダウンをしてくれる。 キーアはLv8でHPも低いので、敵を近づかせないこと。 戦闘後、イベントが発生してクエストクリア。 ロイド・囮役のメンバー・キーアはいつの間に着替えたんだ… そしてペングー戦隊ですか… - ◆戦闘手帳 ミシュラム・ワンダーランド ◆戦闘手帳 ミシュラム・ワンダーランド 名前 備考 アカペングー アオペングー ハイドロカノンを使用 キペングー 範囲にDEFダウン モモペングー 混乱付与と仲間のHP回復を行なう ミドリペングー 遠距離攻撃でDEFダウン シロペングー AGLダウンと即死攻撃を使う みーしぇの挑戦(隠し) 期間:インターミッション:テーマパークイベント時(残りチケットが2枚の時) 報酬:2000ミラ 取得DP:5+? テーマパークのチケットが残り2枚の時に休憩所へ行き、 店の側にいる「みーしぇ(ピンク色のみっしぃ)」に話しかけると発生。 挑戦を受けると、同行キャラの選択をすることになる。 選択したキャラの絆ポイントを獲得。 挑戦が終了するまでアトラクションの利用は出来ない。 挑戦中に中央みっしぃ花壇前に居る「みっしぃ」に話しかけるとギブアップも可能。 下記5ヶ所で順番に発見 占い館 中央みっしぃ花壇裏 観覧車右側の左の植木裏 ホラーコースターの左上の石像の裏 鏡の城入口右(店員の右) 終わると、「キング・オブ・かくれんぼの称号」と「みーしぇストラップ(命中+50のアクセサリ)」が貰える。
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/6304.html
インピューリティー・ゼロ 自分のスピリットクォーツ以外のクリーチャーを破壊して発動する効果。 晶壁の使徒ラブラール 光 コモン コスト3 2000+ イニシエート/スピリット・クォーツ ■Cソウル ■インピューリティー・ゼロ(このクリーチャーを召喚した時、バトルゾーンにある自分のスピリット・クォーツではないクリーチャーを1体破壊してもよい、そうした場合、このクリーチャーはαの効果を得る。) αこのクリーチャーは次の自分のターンの終わりまで「ブロッカー」を得る。 ■クリア・トリック(このクリーチャーがバトルする時、手札からスピリット・クォーツを捨ててもよい、そうした場合、このクリーチャーはΛの能力を得る) Λバトルゾーンにあるカードの文明1つにつき、このクリーチャーのパワーは+1000される。 (フレーバー)「僕たちの領地で何をしているんだい?」―晶壁の使徒ラブラール 作者:晶牙 ほぼ全てが召喚時に発動。 インピューリティーは濁りとか不純物とかの意味らしい それを無し(0)にするからインピューリティー・ゼロ それにしてもラブラールは説明によく役立つ。
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1887.html
ロックマン ゼロ 簡潔なまとめ:part13-614,619 詳細なまとめ:part43-562~566 614 :名無しさん@お腹いっぱい。:2005/03/22(火) 21 34 05 ID YYg++oTx Rockman Zero RockmanXの時代から更に100余年、人々とレプリロイドが暮らす都市ネオ・アルカディア。 資源問題の深刻化により余剰なレプリロイドは迫害されていた。 人間ながらもレプリロイド側で戦っていた科学者シエルは伝説のレプリロイド・ゼロの封印を解く。 ゼロは記憶を失っていたが、本拠地のレジスタンスベースを守るために奮戦することに。 ときおりゼロを助ける謎の存在に気付きながらも、ゼロは数々の部隊を打ち破り、 敵の幹部・四天王とも互角に渡りあっていく。 しかし結局レジスタンスベースは崩壊。ゼロはシエルら撤退の時間稼ぎのため、 単身ネオ・アルカディアに乗り込み、総大将であるエックスとの対決を決意。 そしてエックスと再会。しかしこのエックスは過去のデータを元に作られたコピーだった。 激闘の末コピーエックスを斬り捨てるが、その自爆に巻き込まれてしまう。 倒れたゼロに近づく謎の存在、それこそ体をエルフ化したエックスだった。 「ゼロのいない間の、長い長い孤独な戦いに疲れた。もう少し休ませてほしい。」とエックス 目を覚ましたゼロは、眼前の無数の追っ手にも怯まず呟く。 「仕方ないヤツだ…。だが、だからこそ一緒に戦えたんだったな。 俺は悩まない。敵が現れたなら、叩き斬る…までだ!」 619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2005/03/22(火) 21 42 17 ID YYg++oTx ちなみにエルフってのは実体のないサポートプログラムのこと。 Xでのライフアップやサブタンクみたいにゼロの能力を上げられる。 たしかX5のラストからゼロに続く予定だったのが、 方針変更でパラレルワールド扱いにされたとかナントカ。 562 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 20 09 ID 00jsSOmf0 舞台はロックマンXの世界から100年後。 Σウイルスが発端となり起こったイレギュラー戦争は青き英雄エックスの活躍により終結。 人々は人とレプリロイドが手を取り合って暮らす理想郷「ネオ・アルカディア」を築き、平和を取り戻した。 だが、それはレプリロイドのイレギュラー化を恐れる政府が無実のレプリロイドまでも大量に処分して得た偽りの平和であった。 イレギュラーの汚名を着せられたレプリロイド達をまとめてレジスタンスを結成し、細々と暮らしていた元科学者の少女、シエル。 だが、ついに彼女達にも政府の魔の手が迫る。無論抵抗するレジスタンスだが、徐々に追い詰められていく。 彼女達は、最後の希望を求めてはるか昔に封印されたもう一人の英雄、ゼロの眠っている遺跡を目指す。 しかしその途中、シエル達はネオ・アルカディアの軍に発見されてしまう。 シエルに先を急がせるため、足止めをするレジスタンスのレプリロイド達。 まるで歯が立たず、次々と倒されいく彼らだったが、シエルは何とか遺跡の奥に辿りつく。 そこは行き止まりと思われたが、シエルの連れているサイバーエルフ、パッシィはここだと言う。 扉を爆破して破壊し、その奥へと進むシエル達。 そこには、ケーブルで繋がれた赤いレプリロイドが眠っていた。 「これが、ゼロ…」 「つ、ついに見つけたぞ!」 レジスタンスの一人がゼロに近づくが、強い力で跳ね返される。 パッシィが言うにはプロテクトがかかっているらしい。 一体どうすれば、と悩む一行についにネオ・アルカディア軍が迫る。 レジスタンスの一人、ミランがひとまず撤退しようと言うが、彼はシエルをかばって死亡。 追い詰められたシエルにパッシィが私の力を使えと言う。 しかし、サイバーエルフは一度力を使うと死んでしまう。そのために思い悩むシエル。 だが、パッシィは「シエルの帰りを待ってるみんなの言葉を忘れないで!」とシエルを諭す。 「……分かったわ」 「ううん、ありがとう、シエル、さよなら…」 「パッシィ----------ィ」 パッシィは自らの命と引き換えにゼロのプロテクトを解除し、復活させる。 助けて欲しいというシエルの言葉を聞いたゼロは、ミランのバスターを使ってシエルを避難させる。 避難した場所は行き止まりだった。考え込むシエルだったが、突如床が崩れ落下。間一髪ゼロが受け止める。 落ちた先は前時代の研究所らしい。そこにレジスタンスベースへ戻れるトランスサーバーがあるかもしれない。 先へ進むシエルだったが、そこは崩れてしまっていた。 戻ろうとするシエル。ゼロは危険を感じ「下がれ!」と叫ぶが遅かった。 瓦礫の中から巨大な手が伸び、シエルを連れ去る。 連れ去ったのは先ほどレジスタンスを一蹴したメカニロイド、ゴーレム。、 シエルを助けるためバスターで応戦するゼロだが、ゴーレムにはバスターが効かず、歯が立たない。 ちっ、と舌打ちするゼロ。そのとき、研究所のモニターに何かが映った。 「…ゼロ…コレヲツカッテ…」 「誰だ!」と問い掛けるゼロだがモニターに移った何物かは答えない。 「…ハヤク…カノジョヲ…助ケナイト…サッ、ハヤク…」 そう言われてゼロは剣のような武器、『ゼットセイバー』を渡される。 ゼットセイバーを使い、ゴーレムを一閃の元に斬り伏せ、シエルを救出する。 救出したシエルはやはりあなたは伝説のゼロなのね、と問い掛ける。 だがあまりにも長く眠っていたせいかゼロは思い出すことが出来ない。 シエルは無理矢理起こしたことと助けてくれた例を言い、自己紹介をする。 その後レジスタンスベースへ非難しようとする2人だが、ゼロは問い掛ける。 「俺がその、ゼロじゃなかったらどうする?」 これに対し、シエルは「私にとっては、あなたはもうゼロなのよ」と答える。 563 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 22 01 ID 00jsSOmf0 レジスタンスベースに戻り、シエルは自分達の置かれている状況をゼロに説明する。 その中でゼロはエックスと言う名前を聞き覚えのある名前を耳にする。 シエルによると、そのエックスこそがレジスタンスを処分しようとしているらしい。 記憶はないが、にわかに信じがたいゼロ。 続いて、シエルはイレギュラーを処分する施設の存在を話す。 施設の停止を頼まれたゼロは、施設へと向かう。しばらくしてその施設へ辿り着いたゼロ。 そこでは、罪のないレプリロイドが今にも処分されそうになっていた。 施設の管理者、アステファルコンを打ち倒し施設の停止に成功したゼロ。 シエルはゼロにしか出来ないミッションが他にもあると言う。 順調にミッションをこなしていくゼロ(成功させなくても進行は可能)。 そんな中、ネオ・アルカディアのメカニロイド、ヒッタイドホッタイドがレジスタンスベースを強襲。 しかしゼロはこれを破壊し、レジスタンスベースの防衛に成功する。 再びミッションをこなしていくゼロ。 ミッションの中、ネオ・アルカディア四天王である賢将ハルピュイア、妖将レヴィアタン、闘将ファーブニル、 隠将ファントムが立ち塞がったがゼロはこれと互角に渡り合い、彼らを退けミッションを成功させていった。 そこへ再びネオ・アルカディアの総攻撃がレジスタンスベースを襲う。 今度こそ持ち応えられそうにないと考えたシエルはゼロに逃げろと言う。 ゼロはシエルにあんたも早く逃げろと言うが、私はもういい、こうなったのは私の責任だと語る。 「ネオ・アルカディアなんかが出来たから、世界はおかしくなってしまった… 行き過ぎた正義、力による平和、人間の幸せのために犠牲になるレプリロイド達… そのネオ・アルカディアを作ったのは、エックスを復活させたのは…私なのよ」 「エックスを復活させた?俺みたいにか?」 「ううん、違うわ…あなたはオリジナル、エックスは…」 その時警報装置が鳴り響き、2人の会話が途切れる。 シエルに皆を助けるように言われたゼロは、敵に占領された動力室を開放したゼロ。 だが、今度はエネルゲン水晶貯蔵庫を制圧された。エネルゲン水晶はレプリロイド達の動力源であり、 これを奪われたら生きていけない。ゼロはエネルゲン水晶貯蔵庫へ向かう。 そこで対峙したのはファントムが率いる斬影軍団の一員であるレプリロイド、ハヌマシーンだった。 激戦の末にハヌマシーンを倒し、ネオ・アルカディア軍を撃退したゼロ。 564 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 26 08 ID 00jsSOmf0 生き残ることが出来たことをゼロに感謝するシエル。 だが、エックスがいる限りこんなことはいつまでも続くだろう。 ゼロは「エックスさえいなくなればいいわけだな、奴が居る場所を教えろ」と言う。 確かに転送装置を使えば忍び込める。だがそこまでハッキングすることはまだ出来ない。 転送装置を使わなければさすがのゼロでも簡単には辿り着けない。 それにそんなに長い間ゼロがベースを離れたらレジスタンスはベースを守り抜くことが出来ない。 思い悩むゼロとシエル。そんな中、何者かが現れる。 「ボクガ、テンソウソウチノプロテクトヲハズシテオイタヨ…ゴメンネ、スコシジカンガカカリスギテシマッタケド… コレデ、イツデモネオ・アルカディアニノリコムコトガデキル…」 「お前は、ゼットサイバーを投げてよこした…」 「サァ、イクンダゼロ…ソシテボクノカゲヲ…」 そう言って何者かは去っていった。 ゼロはトランスサーバーからネオ・アルカディアへ乗り込む。 警備を潜り抜け、ネオ・アルカディアの神殿を先へ先へと進んでいくゼロ。 無事に最深部に到達し、神殿を守るレプリロイド、ヘラクリウス・アンカトゥスを撃破。 続いてゼロはネオ・アルカディアの塔を進んでいく。 塔を守っていたレインボーデビルを撃破し、先へ進むゼロ。 しかしゼロの前に人影が見える。そこにいたのはベースにいるはずのシエルだった。 「シエルか何しに来た」 「あの…ごめんなさい…私…コピーエックスを作ったのは私だから…だから…」 コピーエックスを作ったことを悔やんでいるシエル。 「責任なんか感じる必要ない。お前は、みんなのためを思ってやっただけだ。後は俺に任せろ」 そう言って先へ進むゼロ。 「ゼロ…ありがとう 私…あなたに出会えたことを本当に感謝してる… あなたがいなかったら…みんな今頃どうなっていたか…死なないでね… ネオ・アルカディアなんて倒せなくたっていい…あなたさえ、生きていてくれたら…死なないで」 シエルの言葉を背に、ゼロはいよいよネオ・アルカディアの本部へと向かう。 エリアXへと進んでいくゼロに、ネオ・アルカディア四天王が再び立ち塞がる。 四天王の一人、ファントムを撃破(≠退けた)ゼロ。 ファントムは死の直前、自ら自爆して命を絶つ。命に代えてもゼロを止めようと自爆したのだ。 しかしゼロは自爆を何とかかわし、助かった(かわさなくても死ななきゃOK)。 四天王を全員退け(うち一人殺害)、ついにエリアXへと辿り着いたゼロ。 しかし生き残ったハルピュイア、ファーブニル、レヴィアタンが立ち塞がり、行かせまいとする。 そこへ3人の後ろから「やめておけ」と声が入る。 声の主はコピーエックスだった。下がっていろと言われ不本意ながらも引き下がる3人。 565 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 28 28 ID 00jsSOmf0 「ようやく会えたね、ゼロ。僕は伝説の英雄である君に会えるのを楽しみにしていたんだよ」 「お前か、エックスのコピーというのは」 「そうさエックス・オリジナルの完璧なるコピーだよ。荒廃した世界から人間を救った新たな伝説の英雄さ。 …知っているかい?人間はいまやかつてないほどの繁栄を取り戻した… 人間が追い求めていたユートピアがここネオ・アルカディアにようやく、実現したんだ。 かつて君やオリジナルのエックスでさえ築くことの出来なかった真のパラダイスがこの世に誕生したんだ! このボクのおかげでね」 「無実のレプリロイドまでも大量に処理して得た平和か。お前も、この世界もすべてまがい物だな」 「ふふっ君はボクの想像どおり愉快な人だね。君のような人と楽しい時間を過ごせて本当によかったよ。 じゃあ、そろそろ仕事を始めるとしますか」 そう言って戦闘形態に変身するコピーエックス。ゼロとコピーエックスの決戦が始まる。 戦いの後、立っていたのはゼロだった。 「弱いな…オリジナルのエックスもそんなに弱かったのか?」 「な、なんだと…!」 「記憶はなくしたが、体はかつての友を覚えているようだ…エックスはもっと強かった」 「よーし、分かったボクの…真の力を…お前にみせてやろう!はぁーーーーっ!!」 そう言ってもう一つの戦闘形態である『シャイニングトランスフォーム』に変身するコピーエックス。 2人の最後の決戦が幕を開ける。 激戦の末、ゼロはコピーエックスを倒す。無残に床に崩れ落ちるコピーエックス。 「な…何故だ…完璧なる…コピーはずの…この…ボクが…何故…こんな、目に…。 ボクは…英雄じゃ…なかったのか…?」 「今、少しだけ思い出した…あいつは、お前みたいに単純な奴じゃない。 いつも悩んでばかりの、意気地なしだったさ…だからこそ、奴は英雄になれたんだ」 「お前だけは…許せん…道連れに…して…や…………」 そのとき、エリアXに警報が鳴り響く。 「サイシュウボウエイラインXヲトッパサレマシタ コレヨリエリアXヲジバクサセ、キケンヨウインヲハイジョシマス」 爆発するエリアXからゼロは脱出を試みるが、爆発に巻き込まれて吹き飛ばされる。 566 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 31 32 ID 00jsSOmf0 しかしゼロは生きていた。以前にゼロを助けた何者かが、ゼロを助けたのだった。 砂漠で気を失っているゼロに、何者かは語りかける。 「君が姿を消し、この世界から姿を消してから… ボクは100年近く、たった一人で途方もない数のイレギュラーと戦っていたんだよ…。 それは辛く悲しい戦いの日々だった…。 しかし、何よりも悲しいのは、だんだん何も感じなくなっていく自分の心だったんだ…」 そう言って何者かは姿を現す。 彼は体を失いサイバーエルフとなっていた、オリジナルエックスだった。 「ゼロ…この世界のことをしばらく君に任せたい… だからこのボクを…まだ…もう少しの間休ませてほしい……ゴメンね…」 そう言ってエックスはいずこかへと去っていった。 しばらくして目を覚ましたゼロ。 「仕方ないヤツだ…。だが、そんな奴だからこそ一緒に戦えたんだったな」 そう言ってゼロが振り向くと、そこにはネオ・アルカディアの無数の追っ手が迫っていた。 しかしゼロは怯まずに呟く。 「わがままは聞いてやろう…しばらくは、俺に任せてゆっくり休め。 俺は悩まない。敵が現れたなら、叩き斬る…までだ!」 そう言ってゼロはネオ・アルカディア軍に立ち向かっていった。 -END- これで終わり。 政府が罪のないレプリロイドを処分してたのは1では「イレギュラー化を恐れて」だったけど2で変更。 2と3も投下する予定だからよろしく。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/37062.html
【登録タグ 曖昧さ回避】 曖昧さ回避のためのページ つよぽその曲ゼロ/つよぽそ SouthSoilHomeの曲ゼロ/SouthSoilHome カンザキイオリの曲ゼロ/カンザキイオリ 曖昧さ回避について 曖昧さ回避は、同名のページが複数存在してしまう場合にのみ行います。同名のページは同時に存在できないため、当該名は「曖昧さ回避」という入口にして個々のページはページ名を少し変えて両立させることになります。 【既存のページ】は「ページ名の変更」で移動してください。曖昧さ回避を【既存のページ】に上書きするのはやめてください。「〇〇」という曲のページを「〇〇/作り手」等に移動する場合にコピペはしないでください。 曖昧さ回避作成時は「曖昧さ回避の追加の仕方」を参照してください。 曖昧さ回避依頼はこちら→修正依頼/曖昧さ回避追加依頼
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/138.html
ロックマン ゼロ 簡潔なまとめ:part13-614,619 詳細なまとめ:part43-562~566 614 :名無しさん@お腹いっぱい。:2005/03/22(火) 21 34 05 ID YYg++oTx Rockman Zero RockmanXの時代から更に100余年、人々とレプリロイドが暮らす都市ネオ・アルカディア。 資源問題の深刻化により余剰なレプリロイドは迫害されていた。 人間ながらもレプリロイド側で戦っていた科学者シエルは伝説のレプリロイド・ゼロの封印を解く。 ゼロは記憶を失っていたが、本拠地のレジスタンスベースを守るために奮戦することに。 ときおりゼロを助ける謎の存在に気付きながらも、ゼロは数々の部隊を打ち破り、 敵の幹部・四天王とも互角に渡りあっていく。 しかし結局レジスタンスベースは崩壊。ゼロはシエルら撤退の時間稼ぎのため、 単身ネオ・アルカディアに乗り込み、総大将であるエックスとの対決を決意。 そしてエックスと再会。しかしこのエックスは過去のデータを元に作られたコピーだった。 激闘の末コピーエックスを斬り捨てるが、その自爆に巻き込まれてしまう。 倒れたゼロに近づく謎の存在、それこそ体をエルフ化したエックスだった。 「ゼロのいない間の、長い長い孤独な戦いに疲れた。もう少し休ませてほしい。」とエックス 目を覚ましたゼロは、眼前の無数の追っ手にも怯まず呟く。 「仕方ないヤツだ…。だが、だからこそ一緒に戦えたんだったな。 俺は悩まない。敵が現れたなら、叩き斬る…までだ!」 619 :名無しさん@お腹いっぱい。:2005/03/22(火) 21 42 17 ID YYg++oTx ちなみにエルフってのは実体のないサポートプログラムのこと。 Xでのライフアップやサブタンクみたいにゼロの能力を上げられる。 たしかX5のラストからゼロに続く予定だったのが、 方針変更でパラレルワールド扱いにされたとかナントカ。 562 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 20 09 ID 00jsSOmf0 舞台はロックマンXの世界から100年後。 Σウイルスが発端となり起こったイレギュラー戦争は青き英雄エックスの活躍により終結。 人々は人とレプリロイドが手を取り合って暮らす理想郷「ネオ・アルカディア」を築き、平和を取り戻した。 だが、それはレプリロイドのイレギュラー化を恐れる政府が無実のレプリロイドまでも大量に処分して得た偽りの平和であった。 イレギュラーの汚名を着せられたレプリロイド達をまとめてレジスタンスを結成し、細々と暮らしていた元科学者の少女、シエル。 だが、ついに彼女達にも政府の魔の手が迫る。無論抵抗するレジスタンスだが、徐々に追い詰められていく。 彼女達は、最後の希望を求めてはるか昔に封印されたもう一人の英雄、ゼロの眠っている遺跡を目指す。 しかしその途中、シエル達はネオ・アルカディアの軍に発見されてしまう。 シエルに先を急がせるため、足止めをするレジスタンスのレプリロイド達。 まるで歯が立たず、次々と倒されいく彼らだったが、シエルは何とか遺跡の奥に辿りつく。 そこは行き止まりと思われたが、シエルの連れているサイバーエルフ、パッシィはここだと言う。 扉を爆破して破壊し、その奥へと進むシエル達。 そこには、ケーブルで繋がれた赤いレプリロイドが眠っていた。 「これが、ゼロ…」 「つ、ついに見つけたぞ!」 レジスタンスの一人がゼロに近づくが、強い力で跳ね返される。 パッシィが言うにはプロテクトがかかっているらしい。 一体どうすれば、と悩む一行についにネオ・アルカディア軍が迫る。 レジスタンスの一人、ミランがひとまず撤退しようと言うが、彼はシエルをかばって死亡。 追い詰められたシエルにパッシィが私の力を使えと言う。 しかし、サイバーエルフは一度力を使うと死んでしまう。そのために思い悩むシエル。 だが、パッシィは「シエルの帰りを待ってるみんなの言葉を忘れないで!」とシエルを諭す。 「……分かったわ」 「ううん、ありがとう、シエル、さよなら…」 「パッシィ----------ィ」 パッシィは自らの命と引き換えにゼロのプロテクトを解除し、復活させる。 助けて欲しいというシエルの言葉を聞いたゼロは、ミランのバスターを使ってシエルを避難させる。 避難した場所は行き止まりだった。考え込むシエルだったが、突如床が崩れ落下。間一髪ゼロが受け止める。 落ちた先は前時代の研究所らしい。そこにレジスタンスベースへ戻れるトランスサーバーがあるかもしれない。 先へ進むシエルだったが、そこは崩れてしまっていた。 戻ろうとするシエル。ゼロは危険を感じ「下がれ!」と叫ぶが遅かった。 瓦礫の中から巨大な手が伸び、シエルを連れ去る。 連れ去ったのは先ほどレジスタンスを一蹴したメカニロイド、ゴーレム。、 シエルを助けるためバスターで応戦するゼロだが、ゴーレムにはバスターが効かず、歯が立たない。 ちっ、と舌打ちするゼロ。そのとき、研究所のモニターに何かが映った。 「…ゼロ…コレヲツカッテ…」 「誰だ!」と問い掛けるゼロだがモニターに移った何物かは答えない。 「…ハヤク…カノジョヲ…助ケナイト…サッ、ハヤク…」 そう言われてゼロは剣のような武器、『ゼットセイバー』を渡される。 ゼットセイバーを使い、ゴーレムを一閃の元に斬り伏せ、シエルを救出する。 救出したシエルはやはりあなたは伝説のゼロなのね、と問い掛ける。 だがあまりにも長く眠っていたせいかゼロは思い出すことが出来ない。 シエルは無理矢理起こしたことと助けてくれた例を言い、自己紹介をする。 その後レジスタンスベースへ非難しようとする2人だが、ゼロは問い掛ける。 「俺がその、ゼロじゃなかったらどうする?」 これに対し、シエルは「私にとっては、あなたはもうゼロなのよ」と答える。 563 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 22 01 ID 00jsSOmf0 レジスタンスベースに戻り、シエルは自分達の置かれている状況をゼロに説明する。 その中でゼロはエックスと言う名前を聞き覚えのある名前を耳にする。 シエルによると、そのエックスこそがレジスタンスを処分しようとしているらしい。 記憶はないが、にわかに信じがたいゼロ。 続いて、シエルはイレギュラーを処分する施設の存在を話す。 施設の停止を頼まれたゼロは、施設へと向かう。しばらくしてその施設へ辿り着いたゼロ。 そこでは、罪のないレプリロイドが今にも処分されそうになっていた。 施設の管理者、アステファルコンを打ち倒し施設の停止に成功したゼロ。 シエルはゼロにしか出来ないミッションが他にもあると言う。 順調にミッションをこなしていくゼロ(成功させなくても進行は可能)。 そんな中、ネオ・アルカディアのメカニロイド、ヒッタイドホッタイドがレジスタンスベースを強襲。 しかしゼロはこれを破壊し、レジスタンスベースの防衛に成功する。 再びミッションをこなしていくゼロ。 ミッションの中、ネオ・アルカディア四天王である賢将ハルピュイア、妖将レヴィアタン、闘将ファーブニル、 隠将ファントムが立ち塞がったがゼロはこれと互角に渡り合い、彼らを退けミッションを成功させていった。 そこへ再びネオ・アルカディアの総攻撃がレジスタンスベースを襲う。 今度こそ持ち応えられそうにないと考えたシエルはゼロに逃げろと言う。 ゼロはシエルにあんたも早く逃げろと言うが、私はもういい、こうなったのは私の責任だと語る。 「ネオ・アルカディアなんかが出来たから、世界はおかしくなってしまった… 行き過ぎた正義、力による平和、人間の幸せのために犠牲になるレプリロイド達… そのネオ・アルカディアを作ったのは、エックスを復活させたのは…私なのよ」 「エックスを復活させた?俺みたいにか?」 「ううん、違うわ…あなたはオリジナル、エックスは…」 その時警報装置が鳴り響き、2人の会話が途切れる。 シエルに皆を助けるように言われたゼロは、敵に占領された動力室を開放したゼロ。 だが、今度はエネルゲン水晶貯蔵庫を制圧された。エネルゲン水晶はレプリロイド達の動力源であり、 これを奪われたら生きていけない。ゼロはエネルゲン水晶貯蔵庫へ向かう。 そこで対峙したのはファントムが率いる斬影軍団の一員であるレプリロイド、ハヌマシーンだった。 激戦の末にハヌマシーンを倒し、ネオ・アルカディア軍を撃退したゼロ。 564 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 26 08 ID 00jsSOmf0 生き残ることが出来たことをゼロに感謝するシエル。 だが、エックスがいる限りこんなことはいつまでも続くだろう。 ゼロは「エックスさえいなくなればいいわけだな、奴が居る場所を教えろ」と言う。 確かに転送装置を使えば忍び込める。だがそこまでハッキングすることはまだ出来ない。 転送装置を使わなければさすがのゼロでも簡単には辿り着けない。 それにそんなに長い間ゼロがベースを離れたらレジスタンスはベースを守り抜くことが出来ない。 思い悩むゼロとシエル。そんな中、何者かが現れる。 「ボクガ、テンソウソウチノプロテクトヲハズシテオイタヨ…ゴメンネ、スコシジカンガカカリスギテシマッタケド… コレデ、イツデモネオ・アルカディアニノリコムコトガデキル…」 「お前は、ゼットサイバーを投げてよこした…」 「サァ、イクンダゼロ…ソシテボクノカゲヲ…」 そう言って何者かは去っていった。 ゼロはトランスサーバーからネオ・アルカディアへ乗り込む。 警備を潜り抜け、ネオ・アルカディアの神殿を先へ先へと進んでいくゼロ。 無事に最深部に到達し、神殿を守るレプリロイド、ヘラクリウス・アンカトゥスを撃破。 続いてゼロはネオ・アルカディアの塔を進んでいく。 塔を守っていたレインボーデビルを撃破し、先へ進むゼロ。 しかしゼロの前に人影が見える。そこにいたのはベースにいるはずのシエルだった。 「シエルか何しに来た」 「あの…ごめんなさい…私…コピーエックスを作ったのは私だから…だから…」 コピーエックスを作ったことを悔やんでいるシエル。 「責任なんか感じる必要ない。お前は、みんなのためを思ってやっただけだ。後は俺に任せろ」 そう言って先へ進むゼロ。 「ゼロ…ありがとう 私…あなたに出会えたことを本当に感謝してる… あなたがいなかったら…みんな今頃どうなっていたか…死なないでね… ネオ・アルカディアなんて倒せなくたっていい…あなたさえ、生きていてくれたら…死なないで」 シエルの言葉を背に、ゼロはいよいよネオ・アルカディアの本部へと向かう。 エリアXへと進んでいくゼロに、ネオ・アルカディア四天王が再び立ち塞がる。 四天王の一人、ファントムを撃破(≠退けた)ゼロ。 ファントムは死の直前、自ら自爆して命を絶つ。命に代えてもゼロを止めようと自爆したのだ。 しかしゼロは自爆を何とかかわし、助かった(かわさなくても死ななきゃOK)。 四天王を全員退け(うち一人殺害)、ついにエリアXへと辿り着いたゼロ。 しかし生き残ったハルピュイア、ファーブニル、レヴィアタンが立ち塞がり、行かせまいとする。 そこへ3人の後ろから「やめておけ」と声が入る。 声の主はコピーエックスだった。下がっていろと言われ不本意ながらも引き下がる3人。 565 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 28 28 ID 00jsSOmf0 「ようやく会えたね、ゼロ。僕は伝説の英雄である君に会えるのを楽しみにしていたんだよ」 「お前か、エックスのコピーというのは」 「そうさエックス・オリジナルの完璧なるコピーだよ。荒廃した世界から人間を救った新たな伝説の英雄さ。 …知っているかい?人間はいまやかつてないほどの繁栄を取り戻した… 人間が追い求めていたユートピアがここネオ・アルカディアにようやく、実現したんだ。 かつて君やオリジナルのエックスでさえ築くことの出来なかった真のパラダイスがこの世に誕生したんだ! このボクのおかげでね」 「無実のレプリロイドまでも大量に処理して得た平和か。お前も、この世界もすべてまがい物だな」 「ふふっ君はボクの想像どおり愉快な人だね。君のような人と楽しい時間を過ごせて本当によかったよ。 じゃあ、そろそろ仕事を始めるとしますか」 そう言って戦闘形態に変身するコピーエックス。ゼロとコピーエックスの決戦が始まる。 戦いの後、立っていたのはゼロだった。 「弱いな…オリジナルのエックスもそんなに弱かったのか?」 「な、なんだと…!」 「記憶はなくしたが、体はかつての友を覚えているようだ…エックスはもっと強かった」 「よーし、分かったボクの…真の力を…お前にみせてやろう!はぁーーーーっ!!」 そう言ってもう一つの戦闘形態である『シャイニングトランスフォーム』に変身するコピーエックス。 2人の最後の決戦が幕を開ける。 激戦の末、ゼロはコピーエックスを倒す。無残に床に崩れ落ちるコピーエックス。 「な…何故だ…完璧なる…コピーはずの…この…ボクが…何故…こんな、目に…。 ボクは…英雄じゃ…なかったのか…?」 「今、少しだけ思い出した…あいつは、お前みたいに単純な奴じゃない。 いつも悩んでばかりの、意気地なしだったさ…だからこそ、奴は英雄になれたんだ」 「お前だけは…許せん…道連れに…して…や…………」 そのとき、エリアXに警報が鳴り響く。 「サイシュウボウエイラインXヲトッパサレマシタ コレヨリエリアXヲジバクサセ、キケンヨウインヲハイジョシマス」 爆発するエリアXからゼロは脱出を試みるが、爆発に巻き込まれて吹き飛ばされる。 566 :ロックマンゼロ:2009/03/01(日) 21 31 32 ID 00jsSOmf0 しかしゼロは生きていた。以前にゼロを助けた何者かが、ゼロを助けたのだった。 砂漠で気を失っているゼロに、何者かは語りかける。 「君が姿を消し、この世界から姿を消してから… ボクは100年近く、たった一人で途方もない数のイレギュラーと戦っていたんだよ…。 それは辛く悲しい戦いの日々だった…。 しかし、何よりも悲しいのは、だんだん何も感じなくなっていく自分の心だったんだ…」 そう言って何者かは姿を現す。 彼は体を失いサイバーエルフとなっていた、オリジナルエックスだった。 「ゼロ…この世界のことをしばらく君に任せたい… だからこのボクを…まだ…もう少しの間休ませてほしい……ゴメンね…」 そう言ってエックスはいずこかへと去っていった。 しばらくして目を覚ましたゼロ。 「仕方ないヤツだ…。だが、そんな奴だからこそ一緒に戦えたんだったな」 そう言ってゼロが振り向くと、そこにはネオ・アルカディアの無数の追っ手が迫っていた。 しかしゼロは怯まずに呟く。 「わがままは聞いてやろう…しばらくは、俺に任せてゆっくり休め。 俺は悩まない。敵が現れたなら、叩き斬る…までだ!」 そう言ってゼロはネオ・アルカディア軍に立ち向かっていった。 -END- これで終わり。 政府が罪のないレプリロイドを処分してたのは1では「イレギュラー化を恐れて」だったけど2で変更。 2と3も投下する予定だからよろしく。
https://w.atwiki.jp/zeromoon/pages/79.html
前ページ次ページゼロの白猫 翌日、当然だが学院は大騒ぎになっていた。 名にしおうトリステイン魔法学院に盗賊が堂々と侵入し、ゴーレムを使って宝物庫を破壊、そして学院の秘宝を盗み去る。学院創立以来の大事件である。 宝物庫の壁には『破壊の杖、確かに領収致しました 土くれのフーケ』という人をくったサインが壁に残されていたという。昨夜の黒ローブは土くれということで間違いなかったらしい。 フーケが土くれと呼ばれる所以は、彼女が『錬金』の魔法の使い手で、メイジの用意した防御をことごとく土くれに変えてしまうことから名づけられたとか。 無論貴族も『錬金』の魔法の対策はしている。それは『固定化』という魔法だ。 『固定化』とは、『錬金』と同じく土系統の魔法で、物質の腐敗・酸化といったあらゆる化学反応を防ぎ、半永久的にその姿を保ち続けさせるという、菌に優しくない魔法である。醸せねー。 『錬金』の魔法を『固定化』がかかった物質へ掛けた場合、どちらが効力を発揮するかは掛けたメイジの能力に依存する。フーケは錬金のエキスパートだったらしく、これまで数々のメイジの固定化が土くれに変えられていたのだ。 そんなフーケといえど、スクウェアメイジが数人掛かりでかけた『固定化』は破ることはできまい。学院の誰もがそう思っていたのだ。だから、『固定化』以外の魔法が宝物庫に掛けられていないことを誰もが見逃していた。 結果、ゴーレムによる力技で壁をぶち壊すという荒業でまんまとフーケは仕事をなしていったのである。 「フーケめ、まさかこの学院にまで狙いをつけていたとは……!」 「『破壊の杖』はオールド・オスマンが特に危険な物と念押ししていたものですぞ!」 「見張りの衛兵は何をしていたのだ!」 慌てふためいて混乱すし、全く統制のとれていない教師たち。 ルイズは忙しない教師たちの様子を無味乾燥な眼で眺めていた。昨夜の事件の目撃者として呼び出されていたのだ。傍らにはキュルケにタバサもいる。二人の心中は知る由もないが、つまらなさそうな様子は三人とも共通していた。ルイズに同伴しているレンもあくびをしていた。 「衛兵など当てにならん、所詮平民だろう! それより当直の教師はどうしたのだ!」 教師の誰かが言った言葉に、シュヴルーズが震えあがった。 昨日の当直は彼女だった。けれども彼女は自室で眠りこけ、朝起床してようやく事件のことを知ったのである。 「ミセス・シュヴルーズ! 貴方は当直でありながら何をしていたのです!」 見て分かるほどぶるぶると震えるシュヴルーズ。責任の大きさからの恐怖ゆえか、涙まで零している。 教師たちはここぞとばかりに彼女を一斉に責め出す。学院長が来る前に責任の所在を明らかにし、自分たちは非難の的にならぬようにしようとしているのだろう。 「泣いても盗まれたものは戻ってこないのですぞ! それとも貴方が破壊の杖を弁償するとでも言うのですか!」 「む、無理です、私家を買ったばかりで……」 座り込んで泣き崩れてしまうシュヴルーズ。このまま責任を負わせる人柱が決まってしまいそうな、その時。 「これこれ、よってたかって女性を苛めるでない。女性を苛めていいのはベッドの上だけじゃぞ」 何と言う破廉恥な発言。こんな発言ができるのは、いや学院の教師全員に向かってこんな発言ができるのは、この学院の最高権力者、オールド・オスマンその人しか居ない。 オールド・オスマン。現存する最も偉大な魔法使い、300年生きたメイジなど、様々な通り名を持っている。噂では、本人は白髭公と呼ばれたがっていたとかいないとか。 しかし、このおじいさんは老いて尚盛んとも有名である。彼が先ほどの発言どおり、女性を苛めるのはベッドの上だけかは非常に疑わしい。 日ごろの彼は、カリスマは無いに等しいスケベ老人で通っている。しかし、この場においては紛れも無く最高責任者の存在感を漂わせていた。 「しかしオールド・オスマン! 彼女は当直でありながら仕事をサボタージュしていたのです!」 「この中で、日頃真面目に当直をしていたものはどれだけおるかね?」 オスマンのその言葉で、先ほどまで勢い込んでいた教師が黙り込む。教師の誰もがオスマンと目を合わせようとしない。 「この通りじゃ。当直の習慣など形骸化して久しいからのう。責任があるとすれば、この場の学院教師全員にじゃて」 オスマンにこう言われては、もはや責任を誰か一人に押し付けることなどできようはずもない。救われたシュヴルーズは涙を流してオスマンに擦り寄った。 「あ、ありがとうございます、オールド・オスマン!」 「ひょっひょっひょ。ええんじゃよええんじゃよ。お礼は君のお尻で払って貰うからのう」 「ええ、幾らでも触ってください、私ごときのお尻なら幾らでも!」 滑ったギャグほど寒いものは無い。特に場を和ませる為に言った物が滑った場合の寒さは本当に凍死しかねない。 誰も突っ込むものが居ない真面目な空気の中で、シュヴルーズの尻を撫でていた手を仕舞うと、取り繕うように一度咳払いをするオスマン。 「それで、犯行を目撃していたというのは誰かね」 「はい、この者たちです」 教師がルイズたち三人をオスマンに示す。無論、猫のレンは人数に数えられていない。時折後ろ足で耳を掻いているが、一応、ルイズの足元におとなしく佇んでいる。 「では君たち。昨晩目撃したものを話してもらおうかの」 「はい。昨夜、私は魔法の練習を行う為中庭にでておりました。そこにキュルケとタバサがやってきて、今日はもう帰ろうとしたところで中庭の植え込みからゴーレムが出てきたのです。ゴーレムは一撃で壁を壊して宝物庫へ侵入し……」 そこまで話して、一度ルイズは黙ってしまう。悔しさのせいで俯いてしまうが、何とか後に続く言葉を絞り出した。 「……戻ってきたフーケはそのまま逃げました。私たちを、無視して……!」 恥ずかしい。恥ずかしい恥ずかしい……! 最初から犯行現場にいながら何もできませんでした、と告白しているのだ、なんという恥辱! ゼロと蔑まれる日常も辛かったが、それとは全く別の悔しさがルイズを苛み続ける。手が真っ白になるほどに強く手を握り締めていた。 「気にすることはない、ミス・ヴァリエール。悪名高いフーケと対峙して君たちに怪我が無かったことこそ幸いじゃて」 ルイズへのオスマンの声は優しかった。生徒である彼女たちを責める気など微塵もないらしい。だが、そんな言葉も屈辱に打ち震えるルイズには何の癒しももたらさなかった。 「その後、タバサが風竜でゴーレムを追跡しましたが、ゴーレムは只の土の山になっていました。恐らくゴーレムを囮にして馬に乗り換えたのではないかと」 ルイズの報告にキュルケが補足する。あの後タバサはフーケを追っていたらしい。しかし何の痕跡も見つけられなかったということだ。 「むむう、それではまるで手掛かり無しか……」 髭を撫でながら唸るオスマン。現状の打開策がなく、部屋に重い沈黙が漂った。そこへ扉からノックの音が響く。 「誰じゃ?」 「失礼します。ロングビルです。遅くなってしまい申し訳ありません」 「入りたまえ」 学院長の許可と共にドアが開かれ、眼鏡の女性が入ってくる。 彼女はミス・ロングビル。オスマンの秘書である。年は恐らく20歳前半くらいか。その年齢でありながら秘書として有能らしく、オスマンからの信頼も篤い。しかし、噂によるとオスマンからのセクシャル・ハラスメントに日々悩まされているとか。 結婚適齢期であり、ややきつめのスーツではっきり浮き上がる女性の起伏は男性教師のみならず男子学生にもけしからんといわれている。その辺りにも原因があるだろう。オスマンにベッドの上以外で苛められている女性筆頭候補である。合掌。 「何処へ行っていたのです、大変なことになっているのですぞミス・ロングビル!」 「存じております。まず勝手に行動したことに謝罪を。朝から独自に調査を進めておりましたので遅れてしまいました」 「調査じゃと?」 「はい。朝起きれば学院中が騒がしい上、騒ぎの中心の宝物庫は無残に壊れているではありませんか。その上最近貴族を脅かしているというフーケのサインまで残されていたと聞きました。そこでフーケが逃げたと思われる経路を辿っていたのです」 「仕事が早いのう、ミス・ロングビル」 教師陣は驚きを隠せない。いち秘書に過ぎない彼女が誰よりも早く行動を起こしていたとは。 「して、何か手がかりは掴めたのかね」 「はい、フーケの隠れ家が分かりました」 「なんと!?」 ざわ……ざわ……。 「フーケを追った先で会った村で聞き込みを行ったところ、農民の一人が黒ローブで馬に乗った怪しい人物を目撃したと。その者は森の中の廃屋に入って行ったそうです」 「黒ローブ……確かに昨日のメイジも黒ローブをまとっていました! そいつがフーケに間違いありません!」 昨晩の犯行を行った人物は黒いローブで顔までスッポリ覆われていた。フーケに間違いないと思ってルイズは言う。 「ここからフーケの居る場所までどれほどかかるのかね?」 「はい、馬で4時間といった所でしょうか」 「オールド・オスマン! すぐに王宮へ衛士隊派遣の要請を……」 「バカモン!! 王宮まで使いを出し、要請が受理され、衛士が派遣されるまでどれだけかかると思っておる! その間にフーケは更に遠くへ逃げてしまうわ!」 一人の教師の提案はオスマンに一蹴される。確かに、フーケがいつまでもそこに潜伏している可能性は低い。すぐに追わねばフーケも秘宝も闇の中へと消えることだろう。 「それにこの事件は学院内で起きたもの。栄えあるトリステイン魔法学院は盗賊の侵入を許したばかりか秘宝まで奪われ、挙句解決に外部へ力を乞うたなどと恥を広げる気か! 我々学院の者だけで処理する!」 名誉を何より重んじるトリステインの貴族、その貴族たちの子供を通わせる名門トリステイン魔法学院。そこへ賊が入られ、おめおめ逃がしたとあればその権威は地に落ちるだろう。学院存続にもつながりかねない出来事なのだ。内々に処理したいというのは当然。 「ではこれよりフーケ討伐隊を編成する。我こそは、と思う者は杖を掲げよ!」 室内が静まり返る。誰一人として、杖を掲げるものは居なかった。 「どうした、誰もおらんのか! フーケを討って名を上げようというものは!」 再度のオスマンの呼びかけにも誰も応えない。誰とも目が合わないように俯き、なのに誰か志願者が居ないか横目でこそこそ伺っている。 ルイズは先ほどからずっとムカムカしていた。これが、貴族の姿か? 賊に入られて、宝を盗まれ、責任を擦り付け合い、敵の居場所が判っているのに尻込みする。 無様。それがルイズが彼らに抱いた感想だった。そして、ここにいる自分もこんな無様な連中と括りにされるのか。そう思った時、ルイズはもう堪らなかった。 「何をしているのです! ミス・ヴァリエール!」 シュヴルーズの悲鳴じみた声に、部屋中の視線がルイズに集中する。ルイズが高々と杖を掲げているのだから当たり前か。彼女の使い魔のレンも例外ではなかった。 「貴方は学生でしょう! 討伐者として行くなど危険すぎます!」 「誰も掲げないじゃないですか」 ルイズは教師の言い分をばっさり切り捨てる。今はこんな議論をしている一分一秒が惜しいのだ。誰も行かぬのなら自分がフーケを捕らえて見せる。私はこんな貴族たちにはならない。 ゆるぎない瞳でオスマンを見る。オスマンもまたルイズを見返し、笑って頷いた。 「うむ、ならば彼女に頼もうかのう」 「オールド・オスマン! 本気ですか! 相手はあの土くれのフーケなのですぞ!」 「ならば君が行くかね、ミスタ・ギトー」 「いえ、私は、今日は喉の調子が悪いもので……」 成る程、ルーンが唱えられないのならば仕方があるまい、などという者はこの場に一人も居はしなかった。 キュルケはしばらくルイズを見ていたが、やがて彼女も杖を取り出し、高々と掲げた。 「ミス・ツェルプストー! 君までどうしたというのだ!」 「ヴァリエールには負けていられませんもの。それに昨日の雪辱を晴らしたい、とも思いまして」 トライアングルクラスとしての自負はあった。しかし昨日のゴーレムは自分の炎をものともしていなかった。その屈辱を晴らすには、確かにこの討伐に参加するのが近道だろう。 杖を掲げる二人も見て、タバサも自分の身長よりも大きい杖を掲げる。 「ちょっとタバサ、あなたまで付き合うことないわよ」 「心配」 キュルケを見上げる瞳は無感情だが、彼女の言葉と行いはまぎれもなくキュルケとルイズを案じているものだった。 「タバサのそういう所、好きよ!」 場所をわきまえず、ぎゅーっとタバサに抱きつくキュルケ。あまつさえすりすりと頬ずりしている。一方のタバサは相変わらずの無表情であった。 「オールド・オスマン。やはり学生だけの討伐隊というのは無理があるのでは……」 「心配はいらぬよ。特に、ミス・タバサはその年でシュヴァリエの勲章を授与されているという話ではないか」 その時教師たちに電流走るーー! シュヴァリエの爵位は、照合の位置付けは低いが、授与されるには何らかの業績を残す必要があり、実力が無ければ貰えないものなのだ。タバサの年齢でそれを与えられたというのは、彼女が相当な実力者であることを示している。 「知らなかったわ。何で黙ってたのよ」 「言う必要も無い」 キュルケの問いに応えるタバサは冷めたもの。いつものぼーっとしたような瞳でぼんやり前を見つめている。 「ミス・ツェルプストーはゲルマニアの軍人の家系。優秀な軍人が何人も輩出されている。彼女自身も素晴らしい炎の使い手と聞いておる」 オスマンの言葉に、キュルケは髪を掻き上げて胸を張る。あの、胸元まで開いたシャツでこれ以上その胸を張られると、シャツからこぼれかねないのですがキュルケさん? 「そしてミス・ヴァリエールもトリステイン公爵の家の出身。またとても勤勉な学生じゃ。何より彼女は貴族の心構えが誰よりも素晴らしい」 オスマンの言葉に、ルイズもキュルケのように胸を張る。しかし、彼女にはこぼれるだけの起伏などありはしなかった。南無。 「では、フーケの居場所までは私が案内いたします」 「うむ、よろしく頼むぞ、ミス・ロングビル。すぐに馬車を用意させる。君たち、何としても破壊の杖を奪還してきてくれ」 「はい、必ず。杖にかけて!」 「「「杖にかけて!!」」」 若きメイジたちは杖を掲げて唱和し、オスマンへ一礼するのだった。 御者台で馬車を操るのはロングビル。残りの三人と一匹はは、荷車のような屋根の無い馬車に乗っていた。襲われた時にすぐ逃げ出せるようにという配慮らしい。 馬車で揺られること4時間の旅。太陽が天頂近くに来た時には森へとついていた。森への中へは馬車が入ることができない。一行は馬車から降りて徒歩で森の中を進んだ。 獣道のような細い道を進んでゆくと、視界が開けた場所に出た。空き地のようになっている草むらに、ぽつんとぼろい廃屋が建っている。 「私が聞いた話によると、あそこにフーケは潜伏しているそうです」 そういってロングビルは小屋を指差す。確かに、こんな奥まった森の中、しかも捨てられたような小屋に立ち寄るような物好きは居まい。隠れ家としては上々だろう。 「作戦を立てる」 タバサが一行に呼びかけた。流石シュヴァリエ授与者。こういったケースにも一家言あるらしい。 立てられた作戦はこうだ。最善策はフーケに何もさせないこと。小屋をキュルケの魔法で焼き払えれば一番なのだが、その方法だと奪還すべき『破壊の杖』が無事である保証が無い。 次善策として、フーケは土のメイジであることに着目する。自分に有利なフィールドとして、敵を発見すればフーケは土のある屋外へ出ようとする筈。囮兼偵察役が小屋へ行き、フーケが居た場合外へおびき出し、魔法の集中砲火で一気に殲滅する、ということに決めた。 「レン、あんた偵察に行ってきなさい」 ルイズは白猫を自分の眼前まで持ち上げて命令する。 「前にやったみたいに私と視覚を共有して、あんたが偵察に行くの。中にフーケが居たらあんたがおびき出しなさい。誰も居ないようなら私たちも行くわ」 レンから返答は無かったが、ルイズの顔を見つめ返しながら一度こくりと頷いた。するとルイズの右目の視界だけにルイズ自身の顔が写る。視界の共有に成功したようだ。 ルイズの腕からレンが飛び降り、小屋へとまっすぐに向かっていく。小屋から丸見えだろうが、囮役としては良いだろう。フーケが小屋の中にいるならかなり気を張っているはず。メイジの使い魔に多い猫が近づいてくるならば何らかのアクションをする可能性が高い。 「ご自分の使い魔を信頼されているのですね、ミス・ヴァリエール」 つぶさにレンと小屋を観察していたルイズに、ロングビルから声がかけられた。 「ええ、逃げ足の速さは。良く逃げられますので」 「ルイズ、それ自慢にならないわよ」 「黙ってなさいツェルプストー」 「貴方の使い魔はどんな能力があるのですか?」 そのロングビルの質問に一瞬詰まるルイズ。ここは無難に普通の使い魔にできることだけ言っておけばいい、と考えた。 「どんなって、普通です。視界の共有や意思の疎通ができるくらいの。それが何か?」 「いえ、とても綺麗な猫だったので、少々興味があっただけですよ」 そう言ってロングビルは小屋へと向かうレンへと視線を戻した。ルイズもレンと小屋へ意識を向ける。 もうレンは小屋まで辿り着き、窓を覗きこんでいるところだ。ルイズにも小屋の内部の様子が見えてくる。 「中に誰もいないじゃない」 窓から見える範囲では中に人影は確認できなかった。レンはさまざまな角度から小屋の中を見渡してみるが、やはり誰一人見つけることはできない。 「フーケはいないみたいよ。私たちも小屋へ向かいましょう」 「では、私はフーケが戻ってきたときに備えて周辺を警戒していますわ」 「一人で大丈夫? フーケは少なくともトライアングルクラスの使い手よ」 「ご心配には及びません。私もメイジの端くれ。ラインクラスとはいえ皆様が戻るまで逃げ延びるくらいはして見せます」 ロングビルはそう言って森の中へと入っていった。 「フーケの追跡から聞き込み、私たちの案内に加えて哨戒まで。働き者ねぇ、あの人」 「私たちも負けてられないわ。行くわよ」 ルイズたちは小屋へと向かって歩き出す。その間も周囲を警戒しながら進むが、やはり何の妨害も無かった。無事に小屋まで到着する。ルイズは仕事をこなしたレンの頭を軽く撫でてやった。 タバサがドアへ『ディテクト・マジック』を唱える。対象物の状態を調べる魔法だ。タバサがうなずく。どうやらワナは無いらしい。 「開けるわ」 小屋の中へと入るルイズとキュルケ。タバサは念のため入り口で見張りをしておく。 長い間、人が入らなかったらしい。小屋の中は何処もかしこも埃だらけ。床には積もった埃に足跡が残っている。最近人の出入りがあったことは確かだろう。 中にはほとんど物が無かった。その中で目を引くのは簡易的なチェスト位か。こんな所にまさか破壊の杖があるとは思えないが、念のため開けてみる。 「え」 「これ、『破壊の杖』じゃない! あっけないわねー」 大穴だ。まさかこんな簡単に破壊の杖が取り戻せるとは。 ルイズは手にとって『破壊の杖』を観察する。まず、軽い。そして何から作られているのかわからない。金属でできているということはわかるが、こんな金属はルイズもキュルケも見たことが無かった。 見た限りでは1メイルほどの大きさの筒、といった印象だろうか。はっきり言って、魔法の杖には見えない。 ふと、ルイズはレンがなにやらじっと破壊の杖を凝視していることに気付く。この猫もこれに興味があるのだろうか。 と、大きな音を立ててドアが開かれる。タバサには珍しく焦った様子でルイズたちへ叫ぶ。 「来た!」 その声と同時に、小屋の屋根が吹き飛んだ。余計なものが無くなってすっきりした、などという感想が浮かぶはずも無い。綺麗に吹き飛んだ天井から見えるのは、青い空、白い雲、そして土でできた拳。 「これは……待ち伏せ……!」 襲ってくるタイミングが良すぎる。恐らくフーケは近くからこちらを伺っていたのだろう。それなら何故破壊の杖を持ち出さなかったのか、という疑問が湧くが、今は頓着している場合ではない。 ゴーレムに小屋ごと潰される前にルイズとキュルケは脱出する。そこには昨日と同じ、自分たちの十数倍はある大きさのゴーレムがその巨躯をさらしていた。 フーケは見当たらない。昨日のようにゴーレムに乗っていれば一気に攻撃を仕掛けただろうが、そんなヘマをするほど向こうも甘くは無いらしい。 「やるしか、ないわね!」 「キュルケ、タバサ! 一斉に仕掛けるわよ!」 「了解」 ルイズの求めに応じ、三人がゴーレムへ一斉に杖を向ける。 まずタバサが『エア・ハンマー』を唱える。空気の塊がゴーレムの胴体に直撃し、巨体を揺らす。 それにキュルケが『フレイム・ボール』続いた。彼女の胴体ほどもある巨大な火球が放たれ、タバサの起こした空気の塊に引火し、ゴーレムは業火に包まれた。 最後にルイズが攻撃を仕掛けた。彼女が唱えたのは『ファイアー・ボール』だったが、結局炎は生まれなかった。何時もどおり、いや何時もより大きい爆発が、ゴーレムの胴体で前触れも無く炸裂する。 「どう……!?」 もうもうとした土煙でゴーレムの姿が遮られてしまう。数秒の後に現れたのは、ぽっかり開いた穴を下の土で再生しているゴーレムの姿だった。控えめに見ても、攻撃が聞いているようには思えない。 「これほどなの……!?」 「一旦退却」 タバサが口笛を吹く。その音を合図として、空に風竜のシルエットが現れる。確かに破壊の杖の奪還は果たした。ならばこのまま逃げるのが上策だろう。が――。 「駄目よ! ミス・ロングビルが居ないじゃない!」 小屋へ侵入する前に別れてから、一度もロングビルを見ていない。見えないところでフーケと応戦しているのか、あるいは既にフーケに……。 「っ!!」 「きゃあぁ!!」 逡巡しているメンバーにゴーレムの拳が降って来る。三人とも何とか交わしたが、ルイズは二人と別方向に跳んでしまった。ゴーレムを間に挟む形でのパーティー分断。状況は非常にまずい。 「ルイズ! 上からシルフィードであなたを拾うわ! それまで何とか逃げ延びなさい!」 キュルケが風竜に乗り込みながらルイズへ叫ぶ。ゴーレムの間を走り抜けることは確かに危険だ。それを避ける為に風竜で回り込んでルイズを拾う考えらしい。 問題は、それまでこのゴーレムの拳から逃げられるか、ということだ。ゴーレムの動きは確かに鈍いが、巨体ゆえの力の大きさ、辺り判定の大きさ、一挙動の動きの大きさを考えると、回避し続けるのは難しいだろう。 「そうだ! これを使えば……!」 ルイズは自分が持っている破壊の杖に意識を向けた。学院長があれほど危険視したマジックアイテムである。名前からしても、こんなゴーレムをも倒せるようなすごいシロモノに違いない――! 祈りをこめて『ファイアー・ボール』の詠唱をする。地響きを立ててこちらへ近づいてくるゴーレムに焦りが生じる。可能な限り早く、間違いの無いように――! 長いような短いような時間が経ち、ゴーレムの腕が届くような距離に来た時に、ルイズはようやくルーンを唱え終えた。間に合う!! 「ええぃっ!!」 そして破壊の杖を振り下ろす。しかし、何も起こらなかった。 「あ、あれ!?」 ゴーレムへの攻撃はおろか、何時もの失敗魔法の爆発も起こらない。必死でルイズは破壊の杖を振る。しかし杖はうんともすんとも言いはしない。 焦燥に胸を焦がすルイズに構わず、ゴーレムは足を持ち上げる。ルイズを踏み潰す気らしい。キュルケとタバサは未だ上空に居る。絶体絶命だ。 視界全てを黒く塗りつぶすゴーレムの足に、ルイズはぎゅっと目をつぶった。 「タバサ! 強引にでもルイズへ近づけて! 私があの子を回収するから! お願い!!」 キュルケが必死にタバサへ懇願する。タバサは安全の為もっと後ろ側から近づきたかったのだが、確かにそんな余裕は無さそうだ。もうゴーレムとルイズは接近しすぎている。 ルイズは破壊の杖を振り回しているが、何も起こる様子は無い。本当にあれはマジックアイテムなのか、という疑念すら浮かぶ。 シルフィードに高速でルイズへ急降下するように指示を飛ばすが、それよりも早くゴーレムが足を持ち上げた。 「やめてーーー!」 キュルケの悲鳴が上がった。だが、そんな悲鳴ではゴーレムは止まらなかった。 どず……ん―― 一際大きい地響きが生じる。ゴーレムの足はもう振り下ろされていた。 「そんな……」 呆然とつぶやくキュルケ。あのゴーレムの足の裏では、ルイズが目も当てられないようなモノになってしまっているだろう。思わず原型すら留めていない彼女の死体を想像してしまう。 タバサとルイズは大して交流は無かった。それでも、今回仲間として一緒に作戦に参加した仲だ。そしてルイズは気難しいが高潔な精神を持つメイジだった。そんな彼女を無残に殺された。タバサの心にも怒りが生じる。 敵は討たねばならない、とフーケが居るはずの森へと視線を移そうとしたとき、ふと何かが視界をよぎった。フーケかと思って目を凝らしてみるが、違う。その娘とは一度だけだが面識があった。 キュルケもそれに気付く。タバサよりも小さな身体。全身白一色の衣装。きらきらと翻る銀髪。ルビーのように真紅の瞳。 「あれは……!?」 「アルク……ちゃん……!?」 「何やってるのよ、このばかマスター」 轟音がしたのに、いつまで経ってもゴーレムの足は振ってこない。代わりに降って来たのは、彼女の声だった。ぎょっとして目を開けると、そこには彼女の使い魔のレンの顔が。 なんとルイズはお姫様抱っこをされていた。自分よりも背の低い幼女に、両肩と両膝を抱え上げられている。お姫様がお姫様に抱っこされているような、それは矛盾していながらも幻想的なシチュエーション。 そして、それはどさりとレンにルイズが捨てられることで終了する。呆然としていたルイズはお尻を地面に打ち付けた。 「な、何するのよ!?」 「貴女があんまりにもヘタレだから助けに来たんじゃない。そんなロケットランチャー振り回しても魔法が出るわけ無いでしょ」 冷たい目でこちらを見下ろしているレン。そんな瞳や打ち付けた臀部の痛みより、今レンが呆れたように言った言葉の内容に驚いた。破壊の杖をレンに見せてルイズは聞く。 「これが何か知ってるの!?」 「知識としてはね。使い方までは知らないわよ。あれが調べる時間をくれるとも思えないし」 ずしん、と響く音の音源へとレンは向き直る。ゴーレムとこちらは数メイルの距離が開いている。レンがルイズを抱えて救出した時にそれだけ距離ができたらしい。そのわずかな距離をゴーレムはのっそり近づいてくる。 「ルイズ、足止めはしてあげるわ。その間に安全圏まで離れてあの竜に乗せてもらいなさい」 言うが早いが、レンはゴーレムへ向かって駆け出した。ルイズが止める暇も無い。あっという間に互いの距離が0になるレンとゴーレム。 射程範囲に入った白い物体へ向かってゴーレムの前蹴りが跳ぶ。しかし、その時にはレンはゴーレムの足より上へ跳んでいた。 自分の身長の何倍も高くレンは浮き上がる。ゴーレムの胸当たりまで跳んだ彼女は、ゴーレムを自らの手で殴りつけた。 「レン……!?」 レンの攻撃は一撃では終わらない。四肢を駆使した突き、払い、振り下ろしのラッシュ。それを一度も着地せず、空で舞うように叩き込む。遠目に、彼女の両手両足に赤い光球があるのが見えた。あれでゴーレムを叩いているらしい。 しかし、ゴーレムにしてみればレンなど人間にとっての羽虫に等しい大きさである。少々の打撃など先程のルイズたちの魔法にも及ばない。あっと言う間に地面の土が生じた傷を塞ぐ。 お返しとばかりにゴーレムがレンを殴りつける。 「―――っ!!」 声にならない悲鳴を上げるルイズ。落下を始めて動けないレンに、彼女の身長の何倍もの大きさの拳が直撃する――! レンはそれに動じることもなく、空中で見事にエビ反りになる。まるで落ちる木の葉が巻き起こる風に乗るように、ひらりとレンは逃れて見せた。 回避してからもレンは止まらない。パンチを放ったゴーレムの腕を掴むと、自分の身体を振り子のように振り、勢いを付けてゴーレムへと飛ぶ! 「ちょっ―――!?」 もはやルイズの目はレンに釘付けだ。主の思いも知らずにレンは好き勝手に動く。いつも飼い主の事など歯牙にもかけない猫そのものに。 飛び出したレンはゴーレムにぶつからずに、脇腹の横を素通りして着地した。振り返ったゴーレムが左手を振り下ろす、が、間に合わない。手が激突する前にレンは射程外まで跳んで逃れていた。 ふと、ルイズはゴーレムの脇腹が光っていることに気がついた。よく見てみると、ゴーレムの脇腹に何か生えている。水晶のようにきらきらしたものが、まるで骨が飛び出したみたいに。 目を凝らしているうちに、飛び出ている何かは砕け散った。 「『ウィンディ・アイシクル』―――!?」 風と水をあわせて使う、『ウィンディ・アイシクル』という魔法がある。確かにその魔法に似ていたが違う。通常はは無数の氷の矢が一斉に襲い掛かるのだが、レンが放ったものは彼女の身長よりも大きな氷柱が一本だけ。それがいつの間にかゴーレムに突き刺さっている。 何よりも、彼女の手には相変わらず手には時折赤い光球が浮かぶだけで、杖を所持していない。彼女が姿を変える魔法を一瞬で行うように、恐らくあれも先住魔法の一種だ――。 「ちょっと! なんで逃げてないのよ!」 目の前で繰り広げられる戦闘に目を奪われていると、レンから叱責が飛んできた。レンの声が届くも、ルイズは動く事ができない。 ゴーレムは二人のやり取りになど頓着せず、再度ゴーレムが右腕を振り上げる――! 「ああもう、空気を……」 ズドォン、と地面へ叩き付けられるゴーレムの拳をターンして難なくレンはかわす。そして彼女も右手を高く掲げ―― 「読みなさいっ!」 勢いよく振り下ろす。その手の動きに従うように、先ほどよりも大きい氷柱が生じ、ゴーレムの足首に深々と突き刺さった。 そして先程のように氷柱は砕ける、がそれだけで終わらない。砕けた氷の欠片が無数の刃となって舞い、ゴーレムの足首を削っている。 削れた足首がゴーレムの巨体を支えきれず、ぐしゃりと潰れる。その隙を逃さず、レンはバランスを崩されたゴーレムの横を走り抜け、ルイズの元まで戻ってきた。 「逃げなさいって言ったでしょうが! 死にたいの!?」 ルイズを責めるレンにはいつもの余裕はない。彼女もあのゴーレムとやりあう事は危険だったのだろうか。 レンの叱咤にようやくルイズに生気が戻ってゆく。主人の気も知らず危ないことをしていたこの使い魔が憎らしくて、とにかく大声で反発した。 「逃げられるわけ、ないじゃない! 私は貴族よ! 貴族が敵に後ろを向けられるわけないわ!」 「そんな意地で死んだら本当に唯の役立たずよ! 杖の奪還を失敗したばかりか自分の命まで粗末にしたって嗤われるだけって分からない!?」 レンの言葉は、レンの『役立たず』という言葉は、今まで誰が言った蔑みの言葉よりもルイズの心にぐさりと深く突き刺さった。 その言葉が痛くて、レンを睨む鳶色の瞳に涙が浮かぶ。 「あんたには分からないわよ! 私よりも魔法が使えてあんなゴーレムとも殴り合えるあんたには! 私はゼロじゃない! もうゼロなんて呼ばれたくないの! だから……!」 ぼろぼろ涙を零しながらルイズは叫ぶ。 見返してやりたかった。馬鹿にされて見下されるばかりの毎日はもう嫌だった。だから討伐隊に志願した。フーケを捕らえればもうゼロと蔑まれることはないと信じて。 なのに結果はどうだ。盗賊風情のゴーレムに手も足も出なくて、危険なところを使い魔に救われて、その使い魔は敢然とゴーレムに向かっていって!? 自分は一体何をしに此処までやってきたのだ。暗い絶望がルイズの胸を押し潰し、危険から逃げることすら忘れさせていた。 「此処で逃げたら私は死んだも同然よ! 誇りすらないんじゃ私は正真正銘のゼロじゃない……!!」 こぼれる涙は留まるところを知らず、地面に涙が吸い込まれていった。ルイズは目の前の使い魔から目を逸らさずにしっかりと睨む。 レンはそんなルイズに複雑な表情を返していた。蔑むような、非難するような、あるいは……憧憬のような。 そして、そんな口論の時間が命取り。ゴーレムの足の修復は既に終わり、二人に向かって距離を詰めてくる。敵の接近を示す地響きを聞いて、レンは溜息を一つ付いた。 「……仮にも私のマスターならもっと強くなってよ。でないと私も力を振るえないんだから」 そう言うとレンは空を仰ぐように両手を広げる。すると、彼女から目に見えない何かが吹き出した。 「!?」 「よく見てなさい」 そう言うと、レンはゴーレムへ向かって歩いていく。無造作に、まるで散歩にでも出かけるような軽快さで。 ゴーレムの射程にレンが入った途端、天頂へ振りかぶられた豪腕が振りりかぶられる。だが、レンは避けようとしない。ルイズが避けろと命令するよりも早く、ゴーレムの渾身の一撃が繰り出される……! 「はい」 レンの軽い掛け声が聞こえた。レンを潰そうとするゴーレムの腕と、まるでそれを受け止めるように伸びたレンの手が衝突した、と思った瞬間――世界が暗転した。 「~~~!?」 もはや何が起こっているのかルイズには理解できない。ほんの一瞬前まで此処は草原だった。なのに今ルイズの眼に映るものは、鏡、鏡、鏡ーー無数の鏡だけ。他の空間は全て暗黒に塗りつぶされていた。 「ラストワルツよ……」 数瞬の後、鏡が一点に向かって集合、いや吸い込まれていく。 吸い込まれたのはレンの両掌の上。吸い込まれた一点だけが真っ白に輝き、闇の中に立った一人佇む彼女を照らしていた。 光りに照らされるレンに見入っていると、ビシリ、と黒いセカイに皹が入った。生じた隙間から入ってくる突然の光りにルイズの目が眩む。 「ーーーっ!?」 暗闇に慣れた目には痛いほどの光りの奔流。ルイズは両腕で自分の瞳をかばった。 「……夢から覚めまして?」 レンの声がする。おそるおそる目を開けてみると――そこはさっきまでの草原だった。レンは後ろで手を組んで悠然と立っている。しかし、ゴーレムは何処にも居なかった。 「は―――」 さっきからルイズは何も言葉にすることができない。何も理解することができない。かろうじてわかるのは、ゴーレムを消し去ってしまった張本人がレンだということくらい。 「まったく、木偶の坊ごときが手こずらせてくれたわ」 レンがさらりと髪を掻き上げて呟いた。その様子はいつもと全く変わらず、あんな巨大なゴーレムを相手したというのにまるで余裕のようである。 いったい自分の使い魔は何者なのか。エルフではないと言っていたが、実はエルフに勝るとも劣らないのでは? 自分の使い魔の所業に、最初の夢の時に抱いた畏怖にも似た感情を思い出す。未だ動けないルイズへ、レンが向き直って言った。 「お分かり頂けましたか? 貴女の使い魔の力を。私と契約しているからには、貴女もこれくらいはできるようになりますわ」 慇懃無礼な口調に戻って、呆然としているルイズへと語りかけるレン。ひょっとして、この使い魔は励ましてくれているのだろうか。 「それと、そろそろ泣き止んだ方が宜しいかと。キュルケたちに見られますわよ?」 ぼっと自分の顔が熱っぽくなるのを感じる。確かにさっき涙が零れてしまった時に、拭う事もしていなかった。気が付くと涙の痕が顔がひりひりしているのが判る。 ごしごしごし、と袖で自分の顔を乱暴に拭っていると、ばっさばっさと羽音を響かせてシルフィードが着陸してきた。 「こ、これは土埃が目に入ったからよ! 別に泣いたりしてないんだからね!」 「はいはい、そういうことにしておきます」 ルイズをあしらいながら、もうレンの瞳は降りてきたキュルケとタバサに向けられている。二人はこちらにゆっくりと近づいてきた。杖をレンに向けて。 「ちょっとあんたたち! どういうつもりよ!?」 「どういうつもりはこっちの台詞よ。ルイズ、あなたいつエルフを味方につけたの?」 二人はレンへの警戒を解かずにルイズへ質問する。確かに、この世界でエルフは恐怖の象徴だ。警戒されるのも無理は無いが、彼女は自分の使い魔なのだ。 ルイズはレンを庇う様に前に出るが、レン自身がそれを制する。 「恩人に向かってひどい対応ですこと。この前は食事を共にした仲ですのに」 「何者」 タバサの簡潔な問いに、レンはルイズに初めて会ったときのように優雅に一礼する。 「改めまして。私、ルイズの使い魔、夢魔のレンと申します。以後どうかお見知りおきを」 いつもの慇懃無礼な態度でレンは自己紹介を進めた。 「レン……って、あなたがルイズの白猫だっていうの?」 「エルフじゃない?」 二人とも目を丸くして聞き返す。 「そうよ。あの白猫よ。エルフじゃないわ。この娘は正真正銘私の使い魔よ。二人とも杖を下ろして。さっきも私を助けてたでしょう?」 「信じられない。夢魔があんな巨大なゴーレムを消せるだけの力を持ってるなんて」 「猫に化けるのも珍しい」 「あんまり珍獣扱いしないで下さらない? それより、あの眼鏡秘書とフーケ本人は何処かしら」 レンの言葉で、一行に緊張が戻る。そうだ、ゴーレムは消えたがまだフーケは確認できていない。が、ゴーレムを操っていた以上この付近に必ず居る。 4人それぞれが背中合わせになり、周囲を警戒する。すると、林から物音が聞こえた。全員がそこへ注意を向ける。杖と視線が集中する森から出てきたのは、眼鏡秘書の方だった。ロングビルだ。 「ミス・ロングビル! ご無事でしたか!」 「はい。申し訳ありません。ゴーレムに襲われて気を失っておりましたので」 襲われた、といっているが、しっかりした足取りでルイズたちへロングビルは近づいてくる。そしてルイズの傍に立つと、レンに目を向けた。 「それにしても、ミス・ヴァリエールの使い魔が先住魔法の使い手とは驚きましたわ」 その言葉に違和感を覚え、キュルケとタバサが怪訝な顔になる。ロングビルは静かに立ち位置をルイズの背後へと移動させていく。 「見てたのに助けに入らなかったの?」 「ええ、だって」 答えを言い終わらぬうちに、ロングビルがいきなり動いた。破壊の杖を持ったルイズの手をひねり、後ろ手に拘束すると、右手に持った杖をルイズの首筋に突きつける。 「お前らを襲うのに忙しかったからねえ」 前ページ次ページゼロの白猫
https://w.atwiki.jp/clarice/pages/11.html
園内に持ち込めるもの・持ち込めないもの 園内にはキャスターバックは基本的に持ち込めません。 1mを超えるものも持ち込めません。 そのほか、酒類、お弁当、ビン、缶など、持ち込めないものがいくつかあります。(正確なもの、誰か教えて~(汗) ロッカーを利用しましょう。 お弁当はピクニックエリアで。 大きさと値段 サイズ:料金 :横幅 ×奥行 ×高さ 特大:600円:35cm×57cm×120cm 大 :500円:35cm×57cm×80cm 中 :500円:35cm×42cm×55cm 小 :400円:35cm×42cm×40cm 最小:300円:35cm×42cm×33cm 特大はゴルフバックが入る大きさです。 ロッカーの数 調査中ですが、TDLステーション下のロッカーは異常に数が少ないです。また特大ロッカーは園外にしかありません。 一般的な長さの長かさは園外のロッカーにしか入りません。 ロッカーが全部使用中だったら? ロッカーは以前と比べると増えたので、全て使用中という事態はなかなかなくなりました。 ただ、場所によっては大きいものが少なかったりするので、いっぱいになってしまうこともあります。 どんなに混んでいる日でも、開園前でしたらまず大丈夫です。 開園後でも、10時ぐらいまでは平気なことが多い気がします。 もしいっぱいでも、15時ぐらいになるとぽつぽつ空いてきます。 最悪は、宅配便の利用も考えてみましょう。 ミラコスタ、アンバサダーだとホテルに買ったものを送ってくれるサービスもありますし、ディズニーホテルとオフィシャルホテルはウェルカムセンターから無料で荷物を送れます。 またパートナーホテルはボンヴォヤージュから有料で荷物を送れます。
https://w.atwiki.jp/hiyo-24/pages/23.html
ゼロ コーレン 「困ってる女の子見たら、助けたくなるのが性分なんでね。」 性別:男 一人称:俺 身長:180cm 血液型:O型 職業・役割:工場労働者 在住地:労働階級地域 A7th(エリアセブンス) 趣味・特技:運動・人の世話を焼く 好きなもの:仲間・人助け・仕事・にぎやかな雰囲気 嫌いなもの:静かな場所・勉強・研究施設 目の色:ターコイズブルー ■(#009DBF)髪の色:カナリア ■(#EDD634) カシオの親友で、“路地裏兄妹”の一員。 明るくこざっぱりした快活な性格で、誰からも頼りにされる兄貴分気質。 正義感が強く根が真面目なので、仲間内からの信頼も厚く、そこかしこで人(特に女の子)を助けては感謝されている。 母子家庭で育ったが、とある事件で幼くして母親を失い、一時は盗みや物乞いでその日の糧を得る生活をしていた。 そんな生活の中、偶然カシオと出会ってつるむようになり、今ではお互いにもっと信頼できる親友同士になった。 カシオと共に彼の義兄(レオ)の庇護のもと教会で暮らしていたが、彼が亡くなってからは家族の生活を助ける為、住み込みの可能な工場地区へ出稼ぎに出ている。 名前の由来:最初はチョイ役の裏切りキャラとして考えていたので、特に何も考えずに名前をつけたのがゼロ。 なので、特に深い意味はなかったと思うんですが、カシオの仲間達がアルファベットを基準に名付けたので、ゼロはその枠からはみ出してるやつ=0番目の仲間=ゼロ。 ってイメージでつけたんだったと思います。(うろ覚え(←おい) 名字はいつも通りの思い付き… イメージソング:募集中
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1612.html
深夜、寝苦しさに目を覚ます。 虚ろな頭で首を起こす。 視線の先には自分の脚に乗る黒い塊。 『それ』は生暖かい息を吐き掛けて自分を見下ろす。 あまりの気色の悪さに全身に鳥肌が立つ。 そして暗闇に慣れた眼がその生物を認識した。 薄暗い室内でありながら、ハッキリと浮かぶ蒼いシルエット。 月光の下、狂気に満ちた金の双眸が爛々と輝く。 ベッドから飛び出そうとしても足が動かない。 上に掛けた毛布の端から自分の爪先が微かに見えた。 夜の黒と対照的に白く映るそれは骨だけになった自分の足。 ひたり、ひたりと獣が体の上を歩む。 胴や胸、歩く度に焼き付くような痛みが走る。 通り過ぎた箇所の肉が溶け、骨格が無残な姿を晒す。 そして獣は終着点へと辿り着いた。 自分の顔の目前、振り上げられた足が額へと近づいてくる。 「や、止めろ…」 聞き遂げられる筈がない。 相手は自分達とは違う、文字通り『怪物』なのだ。 そこに感情や情けなどはない。 ただ殺す為だけに『怪物』は存在するのだ。 足が届く直前、机に置いてあった杖へと必死に手を伸ばす。 がむしゃらに掴んだそれを振り回し、ひたすらに魔法を放つ。 それでも怪物は死なない。 まるで自分の抵抗など無意味だと言わんばかりに見下ろす。 「ウワァァーーーー!!」 「どうした!?」 悲鳴を聞きつけた取り巻きの一人が男のエア・ハンマーで弾き飛ばされる。 叩きつけられた頭部からの出血が壁を赤く染める。 ようやく事態の深刻さに気付いた生徒の一部が教師を呼びに向かう。 その間も男は気が違ったように周囲の物や人間を壊し続けた。 彼が杖から手を離したのはそれから一時間後。 教師数人に取り押さえられ、強引に取り上げられての事だった。 唯一の武器を失った彼は怯えきっていた。 誰もいない部屋の隅を見つめ、まるで悪魔でも見たかのように、 顔面を蒼白にしたまま震えていた。 「むう…」 重軽傷者6名、寮塔の部屋は半壊、本人の物を含む使い魔が3匹死亡。 知らされた被害状況に、皺だらけのオールド・オスマンの額に更に深い皺が寄る。 事件を軽視したのが最大の原因なのだが後悔してももう遅い。 彼が思っていた以上に決闘を行った生徒はトラウマを負っていた。 無傷で済んだ事が逆に発見を遅らせてしまった。 となると他の決闘を目撃した生徒達にも悪影響が及ぶかもしれない。 今回の件がきっかけで余計に心理状況が酷くなった恐れもある。 事件を受けて問題の生徒は放校処分となった。 両親の方からも反対は無かった。 平民や使い魔ならまだしも貴族の子息に怪我を負わせたのだ。 方々手を回して大問題に発展しないようにするのが精一杯という所。 どうせ学院にいても針の筵。 それなら実家で静養がてら謹慎させるのが得策と判断したのだろう。 「残念じゃな…」 「学院内で怪我人が出た事ですか?」 「それもある。だがワシが言っているのは彼を正しく導けなかった事じゃ」 貴族にとって魔法は身近にある存在だ。 日常の些細な事にまで当然のように魔法を使っている。 だが魔法は決して便利なだけの代物ではない。 それを人に向ければ容易く命さえも奪い取ってしまう脅威なのだ。 だからこそ自分の力を自覚し、それに対して責任感を持ってもらいたかった。 決して安易に振るわず、自分の力に負けぬ強い心を持って欲しかった。 「『魔法を学ぶ』とは本来そういう事であるべきなのじゃが…」 やれやれと背もたれに体を預ける。 この齢になってもまだ自分の未熟を痛感させられる。 人に教えを説く事のなんと難しき事よ。 そしてなんと皮肉な事か。 オールド・オスマンが体現する魔法使いの在り様。 それに最も近い者が魔法を使えぬ少女だというのだから。 「それにしてもミス・ヴァリエールは良き使い魔、良き友に恵まれた」 関係者からの事情聴取や目撃者の話を総合し、明らかにされた事件の顛末。 その中で浮かび上がった幾つかの事実。 彼女の使い魔は己の命を奪おうとした相手さえも許し、 彼女の親友はミス・ヴァリエールを助けようと複数のメイジ相手に敢然と立ち向かった。 他の者たちも彼女に心配を掛けまいと決闘の事は伏せているようだ。 事件の首謀者達が救いがたい者達だっただけに、彼等の姿がオールド・オスマンには眩しく映った。 「良き出会いは幾万の財宝にも勝るもの……あいたたたた」 「ええ。でも良き師に巡り合えなかったのが彼女の不幸ですわね」 たまには良い事を言うと思いながら自身へと伸ばされた腕を捻り上げる。 少しは見直しても良いか知れないと思った矢先にこれである。 彼女内のオールド・オスマン株は急落を続け、既に原価割れを起こしている。 腕が折れるか折れないかギリギリまで極めた後、彼女は手を離し入り口へと向かう。 「いつつ……およ? どこに行くんじゃミス・ロングビル」 「ええ。生徒達の相談を受けようかと思いまして。 この事件で動揺が広がっているようですので、少しでも緩和になればと」 「なるほど。…どうやらワシは良き秘書に巡り合えたらしい」 「ありがとうございます」 恭しく一礼をして出て行くミス・ロングビル。 それと入れ替わりにコルベールが入ってくる。 その顔付きは真剣というよりも、どこか危機感さえ漂わせている。 合わせるかのように弛みきったオールド・オスマンの顔が引き締まっていく。 「…やはり彼はガンダールヴなのでしょうか?」 「判らん。だが伝説によればガンダールヴはあらゆる武器を使いこなし戦ったと聞く。 対して彼が使ったのは自分の能力だけ。それを考えるとどこか違う気がするのじゃが…」 そもそも武器が持てるかどうかさえ危うい。 だが、ルーンは間違いなくガンダールヴの物。 伝説自体に間違いがあるのか、それとも全く別のルーンなのか。 いくら考えようとも答えは出ない。 「とりあえず、この件は内密にしておこう。 彼がガンダールヴであろうとなかろうと比類なき戦闘力を持っているのは確か。 アカデミーの連中に嗅ぎ付けられれば事じゃからな」 「はい…」 沈痛な面持ちでコルベールが視線を落とす。 彼はアカデミーがどういう所か痛いほど理解していた。 もしミス・ヴァリエールの使い魔の事を知れば平気で解剖しかねないだろう。 「ところで、そろそろ品評会も近いが『例の物』の解析は終わったかね?」 「『光の杖』の事ですね。それが言いにくいのですが一向に進んでおりません」 「何じゃと…?」 「どうも『光の杖』と共に発見された書物全てが『光の杖』とは無関係の物のようです」 「むう…止むを得まい。元々、王宮から押し付けられた物じゃからな。 この短期間で解析しろなど最初から無理があったか」 「一応、書物に書かれている内容についてはまとめ次第ご報告します」 「うむ、任せたぞ」 ミス・ロングビル同様一礼し、部屋を後にするコルベール。 そして一人残されたオールド・オスマンがパイプを吹かしながら思考を巡らせる。 数ヶ月前に発見された『光の杖』。 発見当初、近くに大量の書物があった事から解析も容易いと判断されたのだが、 それも無関係の物と判った以上、誰にもアレは扱えまい。 いや、それで良かったのかもしれない。 過ぎた力は身を滅ぼす。 ましてや自分達の理解を超えた物は尚更だ。 そんな物騒な物は『破壊の杖』同様に宝物庫の片隅で、 永遠に眠りについてもらうのが正しい在り様というもの。 しかしオールド・オスマンにはある懸念があった。 『光の杖』がもし武器の類だとしたら威力が強すぎる。 ましてや周囲に落ちていた残骸から、これは室内に取り付けてあった事が予想されている。 戦場ならまだしも、どうして建物内にそんな物があったのか。 全くの仮説なのだが、彼はその疑惑を拭い去る事が出来なかった。 “そこには『光の杖』などより遥かに『恐ろしい物』があったのではないか…?” 故郷へと帰る馬車の中で男は爪を噛んでいた。 幼少の折に咎められて以来、無くなった筈の悪癖。 それが耐え切れぬストレスによって再発したのだ。 何故、自分が学院を追い出されなければならないのか? こっちは被害者であるにもかかわらず! 処罰を受けるべきはあんな怪物を呼び出した『ゼロ』の方だろうが! きっと裏から親が手を回したに違いない! そうだ! そうに決まっている! 理不尽な憎悪を燃やしながら男はそれでも諦めない。 魔法学院を放校されるなど一生ものの恥だ。 その悪評を延々と付きまとい、自分の出世の障害となるだろう。 それをどうにか取り消させ、主従共に葬り去る方法を考える。 男の口元に嫌らしい笑みが浮かぶ。 事は思った以上に単純だった。 アカデミーに密告すればいい。 学院長と親父の間では守秘の約定が交わされたが、俺の知った事じゃない。 そうすればすぐに怪物は捕獲され、眼球に至るまで解剖されるだろう。 もちろん主である『ゼロ』も黙って隠そうとした学院長も終わりだ。 王室への反抗と見なされ、処分は免れないだろう。 俺を罰した報いを受けさせてやる。 都合のいい妄想に浸っていた瞬間、大きく馬車が揺れた。 せっかくの良い気分を阻害され、杖を手に御者を怒鳴りつけに出ようとした。 しかし馬車の扉が開かない。 いくら押してもビクともしない。 様子を覗こうと窓から顔を出し、男は“それ”を目撃した。 自身のゴーレムの三倍は超えようかという土塊の巨人。 それが自分の馬車を掴み押さえつけている姿を。 「こんばんわ。貴族のお坊ちゃん」 「っ……!」 「御者はもうとっくに逃げたよ。随分と人望が無いんだねアンタ」 巨人の足元、フードを被った何者かが自分に語りかける。 何者かなどと聞ける筈がなかった。 みしりみしりと天井から響く音が、相手の機嫌を損ねた瞬間に死を迎える事を知らせる。 「ちょっと聞きたい事があってさ。 アンタが決闘したっていう使い魔について話してもらおうか」 フードから覗く口元が冷たく釣り上がる。 “お前のような小物などに興味は無い” そうハッキリと断言されたかのようで癇に障る。 だが、それは助かるかもしれないという彼の僅かな望みでもあった。 「ゴーレムを溶かした…それは魔法でかい?」 「魔法じゃない。そんなのとは違う。 まるで食べ物を消化するみたいに、あの怪物は全部溶かしちまう」 フードを被ったそいつは『決闘そのもの』にだけ興味を示した。 より正確には、怪物の性能だけを聞いていたのだ。 大体の事を話し終わると、そいつは背を向けて離れていった。 命拾いした安堵に肩の力が抜ける。 瞬間、天井がより激しい悲鳴を上げて鳴き始めた。 木材に走る雷のような切れ目。 「ま……、待て! 俺は全部話したぞ!」 「ああ。だけど話したら助けるなんて一言も口にした覚えは無いね」 再び浮かぶ残酷な冷笑。 こいつは怪物とは違う。 命乞いの意味も言葉も理解している。 そして、その上で取るに足りない俺の命を気まぐれで奪おうとする。 人の心を理解しながら平然と踏みにじる、それは往々にしてこう呼ばれる。 「あ…悪魔め!!」 それが彼の最期の言葉だった。 天井という支えを失った馬車は中の人間もろとも平面に潰された。 なんと喚こうとも彼女の耳には残らない。 どうせ名前さえろくに覚えていない相手だ、明日には顔さえも忘れてるだろう。 「……悪魔ね。そんな御大層なものじゃないさ」 それでも彼女なりの礼儀だったのか、物言わぬ死体を背に彼女は答える。 見上げるのは月。思い浮かべるのは宝物庫に眠る秘宝。 僅かな時間、本来の自分へと戻った喜ぶを詠うように彼女は告げた。 「アタシはただの盗賊さ」